第27回国際原子炉構造工学会議(SMiRT27)とのコラボレーションで、より明るく安全な未来へ

東京大学の高田毅士名誉教授、IASMiRT会長のエマニュエル・ヴィアレ氏

SMiRT27の主催者が、開催地として持続可能な都市・横浜を選んだことはSMiRT27のテーマを象徴していた。左から、会議委員長である東京大学の高田毅士名誉教授、IASMiRT会長のエマニュエル・ヴィアレ氏。

SMiRT27のテーマは、2011年の福島第一原子力発電所事故を教訓とした、次世代の原子炉構造工学でした。この会議は2024年3月3日から8日にかけて、日本最大級の総合コンベンション施設、パシフィコ横浜で開催されました。この分野における著名な学者や技術者など大勢の参加者を集め、原子力技術の未来について議論を進める活気あるイベントとなりました。

持続可能な都市

SMiRT27議長である東京大学名誉教授の高田毅士氏とIASMiRT会長のエマニュエル・ヴィアレ氏は、国連の持続可能な開発目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」を達成するために、この議論が重要であることを強調しました。「横浜のホテルの部屋の窓から風景を眺めていた時、対岸の陸上に風車があることに気づきました。私たちと同様、横浜がいかにグリーンエネルギーを重視しているかについて考えさせられました」とヴィアレ氏は話します。「原子力エネルギーは脱炭素化を推進するものであり、それもパシフィコ横浜を会場に選んだ理由のひとつです。」

パシフィコ横浜は、施設で発生する産業廃棄物の90%以上をリサイクルしています。それは、コンベンション会場のリサイクル率として、世界の中でも高い割合です。「ここで会議を開催することは、私たちが持続可能性を重要視しているという明確なメッセージを参加者に送ることになります」とヴィアレ氏は続けました。

多目的に使用できるパシフィコ横浜会議センターで開催された対面式会議。

多目的に使用できるパシフィコ横浜会議センターで開催された対面式会議。

会議委員長である高田毅士教授は、原子力技術の分野において若者を第一線で活躍させることの重要性について語った。

会議委員長である高田毅士教授は、原子力技術の分野において若者を第一線で活躍させることの重要性について語った。

次世代を見据えて

会議の開催地に横浜を選んだことは、SMiRTの大きな目標である「若者の育成」を反映したものでもあります。横浜はSMiRTと同様、近代的で進歩的な都市であり、若い世代のイノベーションによって常に進化し続けています。「私たちの目的は、新時代の原子力エネルギーを推進し、これまで蓄積してきた知識を若い人材に伝えることです。SMiRTの会議では毎回、『シバタ・アーリーキャリア・アワード』を開催しており、この分野の若い専門家が研究論文を発表し、議論に貢献することを奨励しています」と高田教授は説明しました。

総合的な実践学習の機会を創出

「業界に長く携わっている者として、私たちは経験から貴重な教訓を学び、それを新しい世代と共有する義務があると感じています」とヴィアレ氏は説明します。「SMiRT27のテクニカルツアーでは、学習体験をさらに活性化させ、参加者が間近で体験することで、より理解を深められるという効果的な機会を提供することができました。福島第一原子力発電所の見学ツアーは即座に予約が埋まったほか、主要都市に繋がる直行便がある東京から近いという横浜の利便性のおかげで、会議の参加者のために魅力的なツアーを手配することができました」。こうした利点も含め、横浜は専門家たちが見識を共有する機会への窓口としての役割を果たし、原子力の安全性と技術の進歩に向けた世界的な協力関係を促進する都市として評価を高めました。

テクニカルビジットで知識を得た参加者は、それを自らの仕事に生かすことができます。SMiRT27では海外からの参加者と国内の原子力産業をつなぐエクスカーションを実施し、クリーンエネルギーや回復力のあるインフラ整備、気候変動対策というSDGsを推進しました。「こうしたツアーは国際社会に利益をもたらすだけでなく、グローバルな喫緊の課題に取り組む横浜の積極的な姿勢を際立たせています。開催都市に選ばれるのは当然ですね」と、ヴィアレ氏は話します。

会議の主催者は、横浜のアクセスのよさと世界に開かれている点を賞賛した。左から、SMiRT国際本部のエマニュエル・ヴィアレ氏、会議委員長を務めたの高田毅士教授。

会議の主催者は、横浜のアクセスのよさと世界に開かれている点を賞賛した。左から、SMiRT国際本部のエマニュエル・ヴィアレ氏、会議委員長を務めたの高田毅士教授。

会場に掲げられた過去の開催都市の大会旗は、横浜が世界的な大会の開催地であることを物語っていた。

会場に掲げられた過去の開催都市の大会旗は、横浜が世界的な大会の開催地であることを物語っていた。

YCVBが全面的にサポート

SMiRT27では、集中的な学習や真剣な議論ばかりが行われていたわけではありません。主催者側は、YCVBが提供するさまざまなサービスを利用することで、参加者がリラックスしてくつろげる時間を設けました。「参加者が打ち解けるために大さん橋で開催したバンケットは、音楽とダンス、そして笑顔に包まれました。パンデミック後の対面での会議の魅力のひとつは、参加者同士の絆が生まれることです。これによって協力やチームワーク、さらに学術的な対話という貴重な機会が生まれるのです」と高田教授は話しました。

ブースでは、参加者に横浜のガイドブックが配られ、英語によるサポートが行われました。これらにより、横浜は風光明媚でアクセスもよく、ホスピタリティや文化、バイタリティにあふれた清潔な街という印象を与え、そこで開催された会議そのものが圧倒的な高評価につながったことは間違いありません。「知的で持続可能な建築、先進的な土木工学、そして変化に対する前向きな意欲。それこそが、私たちが今後の原子力技術を進歩させる上で誓うことであり、この街には、私たちが世界に発信したいことがすべて詰まっています。この開催地のおかげで参加者は大きな刺激を受けていますと高田教授は話しました。

SMiRT 27:

  • 会議名 第27回国際原子炉構造工学会議(SMiRT 27)
  • 会議委員長 高田毅士教授
  • 会期 2024年3月3日~8日
  • 開催地 パシフィコ横浜
  • ウェブサイト https://www.smirt27.com