2022年 アジア・パシフィック マイクロ波会議:スマート社会への相乗効果を創出する(APMC 2022)

古神義則教授

古神義則教授

APMC 2022国際会議実行委員会 委員長

「2022年 アジア・パシフィック マイクロ波会議」(以下、APMC 2022)が、2022年11月29日~12月2日に横浜みなとみらいエリアにあるパシフィコ横浜にて開催されました。オンラインでも参加できるハイブリッド開催となり、実行委員長を務めた宇都宮大学の古神義則教授にマイクロウェーブ技術を活用した未来や活気あふれる横浜の街、おすすめのナイトスポットについて、お話を伺いました。

環境に配慮した方法でマイクロウェーブ技術の範囲を広げる

「マイクロウェーブ技術」という用語から、まず思い浮かべることは携帯電話ではないでしょうか。APMC 2022で議論された内容は、モバイルネットワーク技術である5Gや6Gの技術にとどまらず、それらをはるかに超えるものでした。古神教授は次のように説明します。「我々の会議では、マイクロウェーブ技術をどのように活用するかを学術的に議論しています。携帯電話だけでなく、さまざまな方法で人々の暮らしの利便性を高めるために話し合っています。私たちは、医療やエネルギー分野、あるいは監視技術においても、マイクロウェーブを皆さんにとって、便利で安全で役に立つものにしていきたいと考えています」。

環境に配慮した方法でマイクロウェーブ技術の範囲を広げる
環境に配慮した方法でマイクロウェーブ技術の範囲を広げる

YCVBが地元企業と出展したブースでは、横浜エリアの新しい技術を紹介していました。

APMC 2022の併設展示会として開催された「マイクロウェーブ展 2022」は企業ブースで埋め尽くされ、各社がマイクロウェーブ技術の優れた活用法を展示していました。横浜市観光協会(YCVB)が横浜の企業と出展したブースで紹介した企業を例に挙げてみましょう。「サクラテック株式会社」は、複数人のバイタルサインを同時に測定できるイメージングセンサーを開発しました。また、「株式会社ツジマキ」は、マイクロウェーブ技術を活用してレーザーマーキングやインクジェットプリントを行っています。YCVBは、ここ横浜で多くの国際会議が開催されていることを契機として、市内に点在する優良企業に対し、その技術を世界に発信する機会を提供し、主催者には市内出展社募集の支援を実施しています。

マイクロウェーブ技術と横浜の歴史的な類似点

APMC 2022では、33ヵ国からの参加者が会場に足を運び、そして40ヵ国からの研究者が論文を提出しました。このように国際色豊かな会議が実現した理由の一つに、羽田空港から横浜へのアクセスの良さが挙げられますが、実は、それだけではありませんでした。古神教授は横浜を主催地に選んだのは、もっと深い理由があると言います。「横浜にはマイクロウェーブ技術に似た、興味深い歴史があります。徳川幕府の城は、武蔵(むさし)国(のくに)と呼ばれる広大な領地に基盤を置いていました。そのエリアは現在の埼玉県から東京を含め、横浜にまで至ります。そこに築かれた壮大な水路のネットワークで食糧や水、日用品などが運搬されており、水路は武蔵国の人々の生活に不可欠なものとなりました。この水路と同じように、本会議は便利で使いやすいネットワークについて議論するものです。つまり、マイクロウェーブ技術は人々の日常生活になくてはならないものだと考えています。こうした歴史的な重要性からAPMC 2022の開催地として横浜を選びました」。

マイクロウェーブ技術と横浜の歴史的な類似点
横浜で体験する素晴らしい日本のおもてなしとグルメ

横浜で体験する素晴らしい日本のおもてなしとグルメ

海外からAPMC 2022に参加した人は、日本のおもてなしを存分に体験しました。「アネックスホール」エントランスの受付には、Welcome Ceremonyで披露されたマイクロ波の放射線を表現した豪華な生け花が飾られ、参加者を迎えました。また、YCVBは横浜市内にある多数の観光施設や飲食店を優待価格で楽しめる「横浜OMOTENASHIクーポン」を提供し、参加者の自由時間の充実を図りました。

古神教授は、横浜のおいしいグルメスポットもいくつか紹介してくれました。そして、少し恥ずかしそうに「私は野毛によく行くんです」と打ち明けてくれました。昔ながらの居酒屋や控えめなジャズバーなどが集まる野毛町は夜に活気づくエリアで、横浜の隠れた名店がひしめくスポットです。もちろん、APMC 2022の参加者は、にぎやかな横浜に滞在する間、観光やショッピング、グルメやエンターテインメントを満喫しました。

安全に開催された対面での学術討論

古神教授は、特にパンデミック中の規制を経験した今、学術的な議論を対面で行うことの重要性を強調します。「対面で人と会える機会に、改めて感謝の念が湧きます。私たちは、人々の暮らしを向上させるという人道的観点からマイクロウェーブ技術を広める方法を考えているので、研究者仲間と顔を合わせてアイデアを共有することは非常に重要だと思っています。それは、私たちの共同の目的が生身の人間の経験に直接かかわってくるからです」。安心・安全な会議にするため、YCVBや主催者や出展者、参加者は共に協力し、ルールを守りながらも活動を制限しない範囲で安全対策を行いました。

安全に開催された対面での学術討論

世界中から集まった参加者がマイクロウェーブ技術の革新的な応用方法について実演しました

About APMC 2022:

  • 会議名 2022年 アジア・パシフィック マイクロ波会議(APMC 2022)
  • 主催者 APMC 2022実行委員会
  • 会期 2022年11月29日~12月2日
  • 開催地 パシフィコ横浜
  • ウェブサイト https://apmc2022.org/a/information.html