2025年AIPPI横浜国際総会における横浜に受け継がれる相互交流のマインド

2025年AIPPI横浜国際総会における横浜に受け継がれる相互交流のマインド

AIPPI(国際知的財産保護協会)の国際総会が2025年9月13~16日に横浜で開催され、総勢2,800名が参加しました。利便性が高く、主要な交通機関とビジネスが集まる中心地として知られる横浜は、国際的なコミュニケーションを促進するという本総会の目的に最も適した都市でした。

都市機能が整い、国際的なイベントを積極的に開催してきた歴史を持つ横浜は、国境を越えて国際的な知的財産法の理解を築くというAIPPIの目標にふさわしい場所です。AIPPI前会長の奥山 尚一氏は「知的財産とは、ほかに類を見ないほど国際的なものです」と説明します。会場のパシフィコ横浜は、世界水準の施設で、アクセスがよく、サステナビリティに責任を持って取り組んでいます。2025年AIPPI横浜国際総会では、開催都市横浜が長年培ってきた交流の精神に基づき、真剣な法的対話が交わされました。

AIPPI(国際知的財産保護協会)前会長 奥山 尚一氏

AIPPI(国際知的財産保護協会)前会長 奥山 尚一氏

AIPPI事務総長のナズリ・コルクト氏(本総会の開催当時)

AIPPI事務総長のナズリ・コルクト氏(本総会の開催当時)

世界に向けて開かれた横浜に集まるグローバルな意見

横浜は、アクセスしやすい立地にあり、近隣にはホテルが豊富にあり、さらに公共交通システムが発達しています。このような利便性の高さが、本総会により多くの参加者を世界中から集める促進剤となったといえるでしょう。奥山氏は「横浜は東京からたった30分ほどの距離にあり、あらゆるものが揃っています。そのようなことから本総会の開催地に横浜を選ぶことは自然な流れでした」と振り返ります。

本総会では、特許や商標、著作権、意匠権、そして予備的差止め命令といったテーマにおける研究の課題などを取り上げ、各国の支部の間の比較研究が行われました。「私たちは異なる各国の支部から意見を集め、それをこの横浜で集約します。そうすることで、多くの国が合意したAIPPIの総合的な見解を得ることができるのです。」と奥山氏は説明しました。

みなとみらい21地区(横浜のウォーターフロントエリアで、美しい風景と遊歩道があり、ショッピング施設をはじめ、エンターテインメント施設などが集まるエリア)に立地にするパシフィコ横浜は、本総会に求められていたインフラのみならず、エネルギッシュで活気あふれる環境も提供しました。「コンベンションセンターとホテルが近くにあることが非常に重要でした。今年の開催地はとても理想的です」とAIPPI事務総長(本総会の開催当時)のナズリ・コルクト氏は話しました。パシフィコ横浜の徒歩圏内には複数のホテルがあり、その部屋数を合わせると8,000室以上あります。パシフィコ横浜は、まさに“理想的”の上をいく開催地です。

未来のリーダーを育てる

AIPPIが優先することは、規制ではなく場を提供することを通じて、新しい世代の専門家たちが知的財産を専門的な分野だけでなく、協調的で国際的な取り組みとして認識できるようにすることです。奥山氏は次のように述べています。「AIPPIの若手メンバーが集まる委員会もありますが、私たちは彼らを管理しないように努め、彼らの意思を尊重しています。彼らはセルフ・エンパワーメント・プログラムといった私たちが思いつかないようなことに取り組んでいます。彼らは互いに話し合い、自分たちで問題点の解決策を見つけようとします」。

このようなイベントにとって、横浜は単なる開催地というわけではありません。横浜は、近隣都市・東京のリソースを活用することで、互いに新たな意見を高め合い、既存の専門知識との交流が生まれるプラットフォームにもなっています。例えば、総会の開会式では、日本の知的財産法を専門とする最高裁判所判事の宮川美津子氏によるスピーチがありました。

未来のリーダーを育てる
Women in AIPPIのイベントとメンターシップ・プログラムに熱心な事務総長のコルクト氏

Women in AIPPIのイベントとメンターシップ・プログラムに熱心な事務総長のコルクト氏

横浜でパワーとメンターシップ、そして世界的なつながり

多様性と包摂性はAIPPIの中核を成すものであり、それは毎年開催される Women in AIPPIというイベントに体現されています。コルクト氏にとって、この恒例の集まりは、単なる社交的な集まり以上のものです。「現在、AIPPI組織内の各国グループのうち、およそ三分の一は女性が率いています。そして34ある委員会のうち、35人の女性が議長あるいは副議長を務めています。それはAIPPIにおける女性の幅広い影響力を示しています」。横浜でのWomen in AIPPIは、横浜美術館のグランドギャラリーにて開催されました。パシフィコ横浜から徒歩で数分の場所にあり、広々とした空間に日光が降り注ぐ吹き抜けエントランスが特徴の花崗岩をふんだんに使った建築で、創造性と対話が交差するスペースです。横浜市内に多数あるユニークな場所のひとつをAIPPIに提案した横浜市観光協会(以下、YCVB)にコルクト氏は感謝を表していました。

女性に焦点を当てたプログラムは一度だけではありません。「私たちは、女性会員が若い女性会員に助言するプログラムを行っています。その目的は、このコミュニティを活性化することと、知的財産に関する専門職を強化すること、そして女性たちにその力をしっかりと感じてもらうことです」とコルクト氏は説明しました。世代を超えたメンタリングと国際的な人脈づくりを組み合わせることで、AIPPIの女性たちがリーダーシップを育み、国際的な協力関係を培っています。そして、それは19世紀に日本で初めて世界に開いた国際貿易港として、自由な交流が息づく横浜という街で非常に円滑に進められました。

横浜ならではの国際的な絆の深め方

2025年AIPPI横浜国際総会では、委員会と決議に加え、YCVBの協力を得て、日本の茶道をはじめ、地域のアートやパフォーマンスまで、さまざまな没入体験型のプログラムを展開しました。それらをとおして、AIPPIは職業上の人脈づくりの機会と、個人の思い出に残る日本文化とのつながりを作る機会を提供しました。奥山氏は「YCVBのサポートのおかげで、みなとみらいホールで歌舞伎を催すことができました」と説明しました。建築とコミュニティ、そして優れた音響が交わった素晴らしい空間で開催されました。

演劇や日本の古典音楽である雅楽、そしてみなとみらいの素晴らしいウォーターフロントの風景とともに、総会の参加者たちは洗練されたおもてなしを受けながら日本の伝統文化を満喫しました。奥山氏にとって、このようなひとときは総会において法的な討論と同じように重要なことでした。「このような文化的な交流は優れた人脈作りの機会だと確信しています」。

奥山氏が2025年AIPPI横浜国際総会の参加者に向けて抱く願いは、「参加者自身の経験を自国に持ち帰り、いつかそれを役立たせてほしい」ということです。そうすることで、開放性と革新性、そして国際的なつながりを特徴とする横浜の精神を引き継いでいくことができるでしょう。

人脈づくりとコラボレーションがAIPPIの礎だと語る奥山氏とコルクト氏

人脈づくりとコラボレーションがAIPPIの礎だと語る奥山氏とコルクト氏

AIPPI 2025:

  • 会議名 2025年AIPPI横浜国際総会
  • 主催者 The International Association for the Protection of Intellectual Property(AIPPI)
  • 会期 2025年9月13~16日
  • 開催地 パシフィコ横浜
  • 取材対象者
  • AIPPI事務総長(本総会の開催当時) ナズリ・T・コルクト
  • AIPPI前会長 奥山 尚一