横浜で奏でられる技術と友好の調和:2025年IEEE NSS MIC RTSD国際会議

本会議の総会議長を務めた東京大学教授の高橋浩之氏

本会議の総会議長を務めた東京大学教授の高橋浩之氏

2025年IEEE NSS MIC RTSD国際会議がパシフィコ横浜ノースにて2025年11月1日~8日に開催されました。本会議は米国電気電子学会(IEEE)傘下の原子科学シンポジウム(NSS)、医用イメージング国際会議(MIC)、常温半導体検出器(RTSD)の合同国際会議で、世界最大の放射線計測関連の国際会議として知られています。開催地として選ばれた横浜は、内外から多くの人々が集まり、交流することで、新たな価値を生み出し発展してきた多国籍文化の街であり、本会議では科学者や技術者、コンサルタントやオペレーター、医学者やサービス従事者、イノベーターなど世界各国の人々が集結しました。

パシフィコ横浜ノースは「理想の会場」

MICプログラムの共同議長を務めた山谷泰賀博士は、本会議の開催地にパシフィコ横浜ノースが選ばれたことを喜んでいました。なぜならば、横浜は彼の故郷だからです。「パシフィコ横浜ノースは本会議において最適な会場です。本会議では、複数のセッションを並行して行うため、数多くの会議室を必要とし、さらに参加者が会場内をスムーズに移動できる環境がパシフィコ横浜ノースにあったからです」。

MICプログラムの共同議長を務めた国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の山谷泰賀博士(右)

MICプログラムの共同議長を務めた国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の山谷泰賀博士(右)

本会議の理想の会場としてピタリとはまった最先端の設備を備えたパシフィコ横浜ノース

本会議の理想の会場としてピタリとはまった最先端の設備を備えたパシフィコ横浜ノース

2020年4月に開設されたパシフィコ横浜ノースは約6,300㎡の多目的ホールと、大小42室の会議室を備える日本で最大規模の複合コンベンション施設です。

科学とコミュニティを同じ舞台へ

多分野にわたる会議を成功させるためには、参加者が多様なプログラムに出席できるようにし、異なるバックグラウンドを持つほかの参加者と交流する機会を提供して意見交換をしやすくすることが必要です。MICプログラムの共同議長を務めたソウル大学のイ・ジェソン教授はこの点について「この会議の最も重要な側面は科学的な交流と友好関係です。私たちは、参加者がほかのグループから新しい科学的な成果を学ぶこと、そして交流イベントに出席することで新たな出会いとともに新しい友好関係を育むことを期待していました」と話しています。

MICプログラムの共同議長を務めたソウル大学教授のイ・ジェソン氏

MICプログラムの共同議長を務めたソウル大学教授のイ・ジェソン氏

会議参加者を対象に文化体験を実施した歴史的な寺院、總持寺。

会議参加者を対象に文化体験を実施した歴史的な寺院、總持寺。

本格的な禅体験を横浜で

本会議の成功の鍵はYCVBのサポートでした。会議参加者のために企画した總持寺での特別な夕食会や一連の文化体験を手配する際、YCVBの協力がありました。總持寺は曹洞宗の仏教寺院で、いまも修行僧が日々、修行に励んでいる禅寺です。文化体験の参加者は焼香や解説付きの座禅を修行僧と同じ空間で体験することができました。会議の総会議長である高橋教授は、この特別なイベントを支援したYCVBに対し深い感謝を表しました。

高橋教授によると、日本での会議はIEEE NSS MIC RTSD国際会議の本拠地である米国で行われる会議より、フォーマルな会議になる傾向があるそうです。その点についてYCVBは主催者のサポートに尽力したといいます。「YCVBがサポートしてくださったおかげでユニークな施設の確保を非常にスムーズに行うことができました。これはYCVBの支援によるメリットのひとつでした。また、このような国際会議において不可欠なネットワーキングの機会を作り出すことも、YCVBによるもう一つの重要な支援でした。世界中から集まった多くの参加者が一堂に会し、似たような分野の参加者と交流を深めるためには特別な機会が必要でした」と高橋教授は話しました。總持寺はケータリングサービスを行っていないため、この特別な夕食会を開催するにあたり、YCVBのサポートは非常に重要でした。「YCVBの参加は、本当にとても重要だと思います。そのおかげで、私たちは思い出に残る夕食会を開くことができました。YCVBのサポートに心から感謝しています」と高橋教授は話しました。

總持寺での特別な夕食会にて世界中から集まった参加者を歓迎する本会議の総会議長を務めた高橋教授

總持寺での特別な夕食会にて世界中から集まった参加者を歓迎する本会議の総会議長を務めた高橋教授

アジアでの開催により、アジア諸国と欧米諸国の参加者の間に新たな相乗効果が生み出された今回の会議

アジアでの開催により、アジア諸国と欧米諸国の参加者の間に新たな相乗効果が生み出された今回の会議

アジア諸国の新たな参加者

イ教授も、パシフィコ横浜と、開催都市・横浜を高く評価し「アジアの国で会議を開催することは、その土地の文化や食にふれる機会を含め、欧米諸国からの参加者に非常に貴重な体験を提供してくれました。さらに私たち海外からの参加者にとっては、日本の素晴らしいおもてなしもユニークな体験のひとつでした。このような素晴らしい場所で自身のコミュニティとともに会議ができたことを、大変うれしく思います」と話しました。

イ教授はもう一つの重要なメリットとして「この会議をアジアの国で開催することで、アジア地域からより多くの参加者を呼び込むことができたことを重要なメリットとして強調したいです。今年は中国、日本、韓国からの参加者数が非常に多かったのです」と述べました。

地元産業と参加者とのつながりを作る橋渡しをした横浜市観光協会(YCVB)の提供で出展されたブース

地元産業と参加者とのつながりを作る橋渡しをした横浜市観光協会(YCVB)の提供で出展されたブース

本会議によって刺激を受け、未来のビジョンについて語るイ教授(左)と高橋教授(右)

本会議によって刺激を受け、未来のビジョンについて語るイ教授(左)と高橋教授(右)

未来の世代に向けて掲げるビジョン

イ教授は、教育およびこの会議への若者の参加の重要性を語りました。「私たちはこの会議で教育を重要視しています。様々なテーマを取り扱った多数の短期コースを提供することで、より多くの若者を巻き込むことができています。その結果、彼らがこの会議全体に、さらに積極的に貢献していると確信しています」とイ教授は話しました。

横浜はこの会議を2021年に開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、会議はオンラインのみでの開催を余儀なくされました。高橋教授は今年の会議はより一層、特別なものだったと話します。その理由は、今年の会議の重要なテーマのひとつである人工知能などの新しいテーマや大きな進歩を議論するときに、ほかの研究者たちと直接会うことが重要だからです。「生成AIは大きな成果を上げてきています。それはあらゆる分野で革命を起こしています。私たちはこの分野が進む方向性についてや、AI技術を私たちの研究にどのように組み込んでいくかをほかの研究者たちと話し合う必要があり、私たちには個人的なコミュニケーションが必要なのです」と高橋教授は語りました。

学界と産業界が手を取り合って進む

山谷博士も高橋教授の話に賛同しながら次のように付け加えました。「この会議で顕著だったもう一つの点として、学界と産業界の緊密な連携です。例えば、新しい医療機器の開発は非常に重要であり、その多くは医療産業の企業によって行われます」。しかし、開発を行った企業は、その研究結果を公表することに消極的なのが一般的だとも指摘します。「そこでこの会議では最先端の研究結果を共有しました。学界と産業界の双方が今後もそのような試みに取り組んでいけることを期待しています」と語りました。会議プログラム内外を問わず、こうした交流の場を設けることが、横浜の特色の一つといえるでしょう。

会議で学界と産業界との連携強化に力を入れたMICプログラムの共同議長を務めた横浜出身の山谷博士

会議で学界と産業界との連携強化に力を入れたMICプログラムの共同議長を務めた横浜出身の山谷博士

IEEE 2025:

  • 会議名 2025年IEEE原子科学シンポジウム、医用イメージング国際会議、常温半導体検出器国際会議
  • 会期 2025年11月1日~8日
  • 開催地 パシフィコ横浜ノース
  • ウェブサイト https://nssmic.ieee.org/2025/
  • インタビュー対象者
  • 総会議長 高橋浩之教授
  • MIC共同議長 山谷泰賀博士、イ・ジェソン教授