「参加者に横浜の景色を是非見てもらいたい」老舗ホテルで開催された伝統のシンポジウム
更新日:2021年10月11日
「第44回 日本骨関節感染症学会」が2021年6月25日(金)、26 (土)の2日間、ホテルニューグランド(横浜市中区山下町)で開催されました。
現地開催・LIVE配信・オンデマンド配信でのハイブリッド式で開催され、現地参加者は約90人、オンラインでの参加は約110人となりました。
医療従事者が参加する学術集会ということもあり、感染症対策の徹底を大前提に、最新の学術発表や情報交換が行われました。
会場はホテルニューグランドの「ペリー来航の間」
受付では非接触の体温測定器が設置され、受付台にも消毒された筆記具が用意されました。
開催44回目を迎える「日本骨関節感染症学会」は、昨年末は現地開催ではなくオンラインの開催を余儀なくされました。今回主催者を務めた一般社団法人 日本骨・関節感染症学会理事で神奈川リハビリテーション病院 病院長の杉山肇医師に、ハイブリッド開催を選択した想いや、開催するにあたってのご苦労についてお伺いしました。
学問を止めるわけにはいかない。withコロナ時代に安心・安全な学術集会を
「第44回 日本骨関節感染症学会」の主催者 杉山医師は会長を務めることが決まった2018年頃からこのホテルニューグランドを開催地として選定されていたとのこと。理由をお伺いすると、杉山氏自身が過去にホテルニューグランドを利用したことがあり、ホテルから見える山下公園や海の景色が「横浜を代表する眺望の1つ」として好きだったからだそう。 全国から集う学会員に、この横浜の景色をぜひ見てもらいたい、その気持ちが第一だったとのこと。 もちろん会場の選定はコロナウイルス感染症の流行前のこと。実際に今回は現地とオンライン開催のハイブリッド形式で開催されることになりましたが、医療関係者が集まる学術集会、中でも細かい分野は違っていても感染症に関わる分野の学会ですから、オンライン開催のみにする意向はなかったのでしょうか。
これからは「病院内連携の強化」が大事な時代
今回、杉山氏は「第44回 日本骨関節感染症学会」のテーマを「骨・関節感染症に対するチーム医療」とし、医師・職員が連携し感染症に対する治療や予防を促進する必要があると提唱しています。 医療関連が学術学会に参加するには、日常勤務のスケジュールを調整して病院を離れて学会に参加します。参加者も、参加者を送り出す医療施設も十分な協力体制がないと実施できないことです。 前回のこの学術集会はコロナ流行直後でやむなくオンラインのみの開催を余儀なくされましたが、日々変化する最新の症例や情報交換の活発な交流はオンライン開催では限界があり、今回は様々な検討の末、ハイブリッド開催になりました。 最新の学術情報を学び、各地に持ち帰ることで治療に活かすことができるよう、学びの場・情報交換の場・連携の場を提供すべく、杉山氏はこの学術学会を現地とオンラインを併用したハイブリッド開催の実現に尽力されました。
オンデマンドコンテンツは”持ち時間”にとらわれない、充実した内容に
今回初の試みとして「ショートプレゼンテーション」と呼ばれる、一般演題のハイライト部分の紹介を両日の開演時に行いました。これは、5つのテーマに合わせた演題を参加者に紹介する時間で、詳しい講演はオンデマンド配信で期間内に視聴できるといった試みです。 従来の学術集会ではたくさんの演題が用意されており、参加者は自分の属性や職種などに合った講演をそれぞれのタイムテーブルに合わせて移動し聴講する必要がありますが、今回は一般演題はオンデマンドコンテンツとして配信し、現地では特別講演やシンポジウム、パネルディスカッションなど現地でしかできない学術提供に専念しました。 視聴可能期間は2週間。参加者は病院での診療の合間や日常業務と調整して都合の良い時間に演題を聴講 し学びを深めることができます。 また演者にとっても、従来では発表時間の制限や、当日のスケジュールの時間の押しなどで充分な時間で発表できなかった事例や情報をオンデマンドコンテンツとして余すことなく配信することができたのです。 各地の医療現場の最前線で活躍する医療従事者にとっては、ハイブリッド開催というのは今まで参加が出来なかった学術集会に、オンラインで参加できるようになり、参加者の裾野も広がるきっかけとなっているようです。
感染症対策を10年以上前から継続していたホテルが提供した新時代の「安心」の提供
今回「第44回 日本骨関節感染症学会」が開催されたホテルニューグランドは、横浜を代表する老舗ホテル。 実は客室・宴会場ともに換気装置による換気の徹底は10年以上前から施設内で徹底されていました。 きっかけは2010年に横浜で開催された第18回APEC首脳会議。日本APEC会議が開始された2009年末頃から猛威を震っていたインフルエンザなどの感染症対策として、施設内の消毒・換気の徹底対策が導入されました。 特殊な噴霧機を使用した室内の換気、アルコール消毒や従業員のマスク着用などは今回のコロナウイルス感染症で初めて取り入れた対策ではなかったため、ホテル内で感染症対策を新たに導入したというわけではなく、日頃行っていた清掃や換気をより徹底することで十分に対応ができたとのこと。 国際MICE都市・横浜という場所で長きにわたり多様なお客様を迎えてきたホテルニューグランド。 10年以上継続されている感染症対策で、施設を安心して利用できます。
ただ、以前の感染症流行とは違うのは、飲食の制限が厳格になったことでした。 ブッフェ形式の食事提供や大人数での会食の制限など、料飲部門には新たな課題が多く生まれました。 老舗ホテルとして、往年のオペレーションに新しい仕組みを取り入れることは大きな壁とでしたが、料飲スタッフをはじめとするホテルのスタッフが一つになり、「宴会用のお弁当メニュー」や「テイクアウトメニュー」の開発・販売が実現しました。 会議中に提供される弁当には和洋どの弁当にも、ホテルニューグランドの名物メニュー「ナポリタン」が入っており、ホテルらしさをしっかり添えています。
ホテルニューグランド 宴会部 宴会セールス課の板垣氏は「今回のコロナ感染症の流行により、お客様にご利用いただくホテルとして、社内の協力体制をより強固に築くことができ、部署の垣根を超えて、お客様へ何が提供できるか深く考えることができた」とお話されました。 会議の場を提供する施設側にとっても、主催者・参加者に安心・安全を提供すべく日々対応されている様子を窺い知ることができました。
[後記]
こちらの「第44回 日本骨関節感染症学会」は、横浜観光コンベンション・ビューローが「安全・安心な横浜MICE開催支援助成金」制度を活用し、開催支援を行いました。 学術会議をハイブリッド開催に移行することで、主催者の負担や経費が増加するという課題に対して、助成金を活用いただき、横浜での学術集会の開催を安心して行えるようさまざまな支援を行っております。
「安全・安心な横浜MICE開催支援助成金」制度についてはこちら
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催事名称 第44回 日本骨関節感染症学会
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会期 2021年6月25日(金)~26日(土)
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場所 ホテルニューグランド 「ペリー来航の間」
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主催者名 一般社団法人 日本骨・関節感染症学会